投稿日:2025.02.12

沖縄県における鉄道の歴史について

皆さん、こんにちは。尚 満喜と申します。

現在は鉄道がない沖縄県ですが、戦前には一時期鉄道が存在していた時期がありました。今回は沖縄県における鉄道の歴史のお話をさせて頂きたく思います。

明治元年、沖縄がまだ琉球国だった時代、明治政府が鉄道の建設を決定し、明治5年、新橋駅(現在の汐留駅付近)から横浜駅(現 桜木町駅付近)まで、日本初の鉄道が開業しました。

10月14日に新橋駅で開業式典が行われましたが、維新慶賀使として東京に滞在していた伊江親方朝直が開業式典に出席し、お召し列車にも乗車させて頂きました。

その後、廃藩置県により沖縄県となり、沖縄で初めて鉄道が敷設されたのは明治35年でした。南大東島でサトウキビを運ぶための手押し軌道の敷設が始まりで、旅客を取り扱う鉄道としては、大正3年5月に沖縄電気軌道が開業します。

同年11月には後の沖縄馬車軌道、そして12月には沖縄県営鉄道与那原線が開業、大正8年には糸満馬車軌道も開業し、鉄道イヤーとなり、戦前の沖縄には様々な鉄道がありました。

大正2年12月に那覇・与那原間と那覇・ 糸満間の鉄道敷設の工事が始まり、機関車と客車が沖縄に到着をみて、工事完了区間での試運転を実施、大正3年12月1日、ついに沖縄県営鉄道与那原線が開業し、その後、大正11年に嘉手納線、大正12年に糸満線が開業しました。沖縄鉄道が開業した当初は与那原から那覇への移動の需要はありましたが、那覇から与那原への移動需要は限定的でした。そこで開業の翌年、県は与那原に海水浴場を整備し、那覇から与那原への行楽客の需要を生み出しました。沖縄県初の駅前開発です。当日の観光案内には名所旧跡の最寄り駅が書かれています。「識名園」は一日橋駅、「普天間宮」は大山駅が最寄り駅でした。

大正10年、当時の皇太子殿下(のちの昭和天皇)がヨーロッパ訪問の往路で、沖縄県に立ち寄られました。沖縄県出身の漢那憲和が艦長を務める戦艦・香取で与那原の海岸から上陸し、与那原駅から沖縄県鉄道に乗って那覇へと向かい、半日ほど沖縄県に滞在なされました。この様に沖縄県の鉄道の歴史は深く、詳しくは「与那原町立軽便与那原駅舎展示資料館」にてその歴史を見る事ができます。切符切り体験などもでき、鉄道の歴史が好きな方にはお薦めな資料館になりますので、ぜひお立ち寄り下さい。

 「与那原町立軽便与那原駅舎展示資料館」

入館料:100円(町内及び小学生以下無料)
開館時間:10:00~18:00
休館日:火曜日・年末年始(12/29~1/3)
駐車場:4台(資料館正面に向かって左手前スペース)
住 所:〒901-1303 沖縄県島尻郡与那原町字与那原3148-1
電 話:098-835-8888

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著者: (一社)琉球歴史文化継承振興会副代表
尚満喜