久米島の海洋深層水で豊かな未来を創造
豊かな自然環境が魅力の沖縄県久米島。そこに広がる美しい海は、海洋深層水がとれることで世界から注目されています。海洋深層水とは、水深200m以深の海水のことを指します。太陽光は海水の表層部にしか届かないため、深層部では表層部と異なる特徴が存在します。その大きな特徴として、低温性、富栄養性、清浄性の3つがあります。
そんな海洋深層水を取水する候補地として、陸地から水深600mの地点までの距離が短い沖縄本島辺戸岬(3.2km)、粟国島(1.6km)、久米島(2.3km)の3つの地があがりました。その中で、後背地の確保、交通の便、リゾートなどとの整合性、離島振興、地元の協力などを勘案した結果、久米島が選定されたそうです。
水深約600mの海底に設置されたパイプを伝って、1日当たり約1万3000tもの海洋深層水を取り出しています。海洋深層水の取水施設は北海道や富山県などにも設置されていますが、取水量は久米島が突出して多いんですね!
【参考】久米島沖海洋深層水について
https://www.pref.okinawa.jp/site/norin/shinsosuiken/shinsousui/kumejimadsw.html
(沖縄県農林水産部 海洋深層水研究所より )
世界で唯一の海洋温度差発電実証プラント
海洋深層水はまず「海洋温度差発電」に利用されます。太陽によって温められた海洋表層水と、冷たい深層水の温度差を利用して発電するシステムです。表層海水も深層海水も、水温が急激に変わらないため、発電出力が安定しており、発電量の予測も容易であることが特徴です。久米島の海洋温度差発電所は出力100キロワット級で、世界唯一の実証運転設備として今でも電気を作り続けています。また、汲み上げた深層海水は、発電に利用した後も水質は変わらず水温も10~12℃程度と低温であるため、この冷熱を水産業、農業、空調等に複合利用できることも特徴です。すごいですね!
ミネラル豊富な特徴を活かし化粧品に
植物プランクトンによる光合成が行われることなく、雑菌が少なくミネラル成分豊富な海洋深層水の特徴を活かし、化粧品開発を行っている企業があります。
平成13年設立の株式会社ポイントピュールは、すべての化粧品のベースとなる水に、久米島の海洋深層水を使用しています。製造工場が沖縄県海洋深層水研究所に隣接しており、研究所から直結したパイプラインで外気に触れることなく取水されています。取水された海洋深層水は、水・塩・ミネラルに分けて精製された後、化粧品の原料として新たに生まれ変わります。その製品作りが評価され、「第7回 ものづくり日本大賞」優秀賞や、2018年度「海洋深層水利用学会賞」などを受賞しています。
【参考】株式会社ポイントピュール
http://pointpyuru.co.jp/