日本遺産認定について
皆さんこんにちは。
5月20日、「琉球王国時代から連綿と続く沖縄の伝統的な『琉球料理』と『泡盛』そして『琉球芸能』」が、地域の有形・無形の文化の魅力を発信する「日本遺産」に認定されました。
その構成文化財の一つ、旧首里城正殿鐘(万国津梁の鐘)についてお話ししたく思います。
万国津梁の鐘は、1458年に琉球王国第一尚氏王統の尚泰久王が鋳造させた釣鐘で、表に刻まれた銘文に琉球の海洋国家としての気概が謳われていることで有名です。かつては首里城正殿に懸けられておりましたが、現在は沖縄県の所有となっています(沖縄県立博物館・美術館にて保管)。
「大工藤原国善」の銘があり、重要文化財にも指定されています。この鐘の銘文は漢文で書かれており、一部の要約をご紹介しますと、「琉球国は南海の景勝の地にあって、朝鮮のすぐれたところを集め、中国と日本とは非常に親密な関係にある。この日中の間にあって湧き出る理想の島である。船をもって万国の架け橋となり、珍しい宝はいたるところに満ちている。」ここまでの内容はご存じの方も多いかと思います。
2000年の沖縄サミットの会場「万国津梁館」の名称は、この釣鐘に由来している事でも有名です。
日本遺産は地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化・伝統を語るストーリーを認定するものです。
ストーリーの中の位置付けで、何故私が一番最初に旧首里城正殿鐘の事をお話ししたかと言いますと、元から沖縄にいらっしゃるウチナンチューの皆様も、本土や他国から沖縄に移住なされた皆様方も、共に沖縄県に生きる仲間です。
※『琉球貿易図屏風』
※『琉球貿易図屏風』の琉球王国船の図を拡大
琉球の文化に誇りを持ちながら、それぞれの職分で万国の架け橋になって頂けたらと願いまして、最初にお話しする事にいたしました。
また、尚泰久王はこの鐘に臨済宗相国寺の渓隠安潜による漢文を刻ませています。
琉球王朝が最も大切にし、琉球神話の聖地である久高島には、琉球王国鎮護の大神様を奉斎しながら、仏教にも心を寄せ、平和を願われた尚泰久王の御心が、万国の架け橋に現れているように思えます。
娘の担当コラム、「スピリチュアルアイランド沖縄」の次回の記事では、琉球王国として様々な宗教を取り入れながら自国文化と融合させたお話しを娘の視点から御紹介したいと思います。
【筆者】
尚 衞(しょう まもる)
尚本家第23代当主。
1950年生まれ。
玉川大学卒業後、アメリカアラバマ州、サンフォード大学(Samford University in Birmingham Alabama U.S.A)にてMBA取得。
一般社団法人 琉球歴史文化継承振興会代表理事として務める。
◆一般社団法人 琉球歴史文化継承振興会
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