ものづくり特集:琉球ガラス村の環境への取り組み「mado」とこれからvol.2
vol.2では廃車の窓ガラスから再生ガラス製品を作ることになった経緯から工芸のサスティナブルな社会への役割について、とてもわくわくするお話でした!
「mado」は当初、企業の記念品としての企画だった
県内最大のリサイクル業者「拓南商事」から、県のものづくり振興課に相談がありました。廃車の窓ガラスは全くリサイクルとして扱いきれていない。ほとんどの鉄の部品は自社で製鉄に使われ、シートベルトも障害者就労センターでバックにしている。使っていない窓ガラスは県外の業者へ支払いをして引き取ってもらっているのだそうです。
「琉球ガラス村」なら、そのガラスを使ったものづくりができるのではないかと声がかかりました。製品として完成したら、「拓南グループ」の60周年記念の記念品としてご購入いただくということで取り組みが始まりました。無事完成したものは「泡盛用のボトル」「ロックグラス」です。
その後、昨今の社会情勢、サスティナブルな製品の開発の意義もあり、製品化。製品としては12種類、「ロックグラス」「タンブラー」「プレート」が定番です。
「プレート」は網目の模様が綺麗な影を落とし、海の波の揺らぎのようでとても美しいです。アイスペールもありますが、職人に考えてもらうと、だいたい酒にからむものを作ってしまいます。
ガラスの色はサイドガラスが「アイスグリーン」、スモーク入りのバックガラスが「ブラック」、素材そのままの色です。久しぶりに扱う再生ガラス、その歴史を表現する柄は昔ながらのモールという型の斜めストライプ「波」、細かい菱形の網目状の「ダイヤ」の2種類。昔はモールの型もなかったので廃車のホイールの内側を型として使っていたそうです。
もう1種の「ダイヤ柄」は、沖縄県外の鉄筋は横に筋が入っているのですが、拓南商事のグループ会社拓南製鐵の鉄筋は格子模様なんです。沖縄の特徴でもあり拓南グループに縁のあるダイヤ柄を採用しました。
このガラスは粒が大きいものを使うので、難しいところがあり、今のところ着色は実験段階です。着色には途中で少量の金属を投入します。そのままの色でもいいのですが、着色に使える金・銀・銅などの金属も廃車のスクラップから出てくるのでそれも再生ガラスに利用できるのです。沖縄は車社会なので、車からできるガラス、面白いんじゃないかなと思っています。
廃車のガラスとは?
拓南商事の扱う廃車は月約6600台。ガラスの処理にもコストが掛かります。そのうち作る分だけのガラスを購入しています。80〜200kgほどで、本当に微々たる量です。廃車のガラスは成分分析をしていて、近年持ち込まれているもののガラスは食器に利用して問題ない成分です。もともとの強化ガラスは割れたときに粉々になり怪我をしにくい性質がありますが、再加工をした際には粉々には割れないものの、原料ガラスと比べると粘りがあり、冷めるのが早い、広げるのに力がいると職人は話しています。手早く強い力で加工しないと思い通りにいかないため、正確な技術を要します。
耐熱加工はしていないので製品に表記はできないのですが、通常の原料ガラスと比べひずむ温度が高いので常温であたたかいスープや紅茶などを入れても問題はないこと、食洗機で使えることは便利です(数人の社員が2年くらい食洗機に入れて使っても変化はありませんでした)。