投稿日:2019.03.13

【沖縄科学技術大学院大学(OIST)からの緊急レポート!第一弾】 体長わずか1mmの線虫。その脳細胞ではデジタル情報処理が行われていた! 人間の「脳」の謎解明につながるか!?

OIST
今回の研究に関わったメンバーたち
(左から)桃原悠人博士、村山孝博士、丸山一郎教授、ジェフ・ウィッケンス教授、税田英一郎技術員。(提供:OIST)

体長わずか1mmの線虫。その神経系は302個と非常に少ない神経細胞からできています。単純な神経系からなる線虫ですが、人間と同じように「条件付け連合学習」(2つの刺激についてその関連を学習)ができる高い脳機能を持つことが分かっています。そのため、これまで様々な神経メカニズムを研究するために線虫を用いてきましたが、線虫の神経応答を観察することは、そのサイズの小ささから極めて困難なものでした。

OIST
線虫(提供:OIST)


(提供:OIST)

 ところがこの度、OIST(オイスト)の丸山一郎教授とジェフ・ウィッケンス教授のコラボにより、この神経応答の直接観察に成功!(丸山一郎教授は主に線虫の「脳神経摘出」などの実験で、ジェフ・ウィッケンス教授は線虫の小さな神経系から出る「電気信号を記録」する技術でそれぞれ貢献しました)。
この直接観察の成功により、アナログ的な情報処理を行うと考えられてきた線虫の神経でも、人間などの高次神経系と同じように、外部からの入力刺激が、アナログ信号だけでなくデジタル信号に変換されることが明らかになりました。この線虫から得られた知見で、将来的には人間の記憶・学習など複雑な脳機能がより詳しく分かるようになるかもしれません。
(また線虫の平均寿命は2週間と短いため、老化・寿命のモデルとしても広く研究されていますが、認知機能に対する老化の影響など、より多面的な神経の働きを明らかにできるかもしれません。)

(詳細はこちらから。沖縄科学技術大学院大学HP)
https://www.oist.jp/ja/news-center/press-releases/33634