投稿日:2024.12.25

☆知れば知るほど美味しい!多良間の黒糖のお話☆

 みなさまこんにちは。12月に入り、いよいよ本格的な製糖期が始まった多良間島は、島全体が甘い香りに包まれていて少し幸せな気分になれます♪今年もサトウキビは豊作らしく、毎日のように製糖工場へ運び込まれるサトウキビの束…。そして、宮古島や、姉妹市村の岩手県の宮古市からなど、たくさんの期間工の皆さんが工場を手伝いに来てくださっています!

 そんな中、私も島の産業に少しでも貢献すべく、空き時間に製糖工場へアルバイトをしに行っています。アルバイトの仲間は顔見知りの方も多く、聞くところによると毎年この時期(12月~3月)に皆さんいらしているそう。すっかり島の一大産業に定着した黒糖づくり。今回は、そんな黒糖について色々掘り下げてお話ししていきたいと思います!

多良間の製糖工場。冬になると毎日甘い香りが漂ってきます♪

【沖縄の八つの島、それぞれの八つの黒糖の味】

黒糖と聞くと「沖縄!」とイメージする方も多いと思いますが、黒糖の原料となるサトウキビは、熱帯・亜熱帯地方で多く生産されております。沖縄以外にも奄美群島や九州・四国の一部でも栽培されています。暖かいところで育つ植物なのですね。収穫時期になると大人の男性の背丈よりも高いサトウキビが道路の両脇に広がり、風にさわさわとなびいています。そういう風景を見ていると、「あぁ、沖縄っていいなぁ…」としみじみ感じます。

また、沖縄の中でも「黒糖」を作っている地域(島)は現在八か所しかないということは意外と知られていないのです!「え、じゃぁ沖縄の他の地域のサトウキビは何になるの?」と思ったそこの貴方、その疑問にお答えしましょう!

  • サトウキビの「汁」をそのまま絞って煮詰めたものが「黒糖」 ※八つの島でのみ生産
  • 汁をろ過した液から、糖分以外の成分の「糖蜜」を取り除いたものが「上白糖」

そうなんです、八つの島以外の地域ではいわゆる「グラニュー糖」と言われる「上白糖」を生産し、県内外に出荷しているのです。ちょっと難しい黒糖のお話しでした(笑)。

では、その八つの島はどこでしょう?多良間島はもちろんなので置いておいて。

じゃじゃん、波照間島・与那国島・西表島・小浜島・粟国島・伊平屋島・伊江島、の全八島です!

余談ですが、多良間に来てからは内地の方に黒糖の説明をすることが多いため、この八島を澱みなく言えるようになりました。さすがは多良間の黒糖にほれ込んだ私(笑)。

大好きな多良間の黒糖&友人から頂いた波照間島の黒糖(右上)

  唐突に、ここでクイズです!

 多良間島の黒糖は、黒糖を作っている八つの島の中で、どのくらいのシェアをしめているでしょうか~!!!!

  • 20%!
  • 30%!!
  • 40%!!!

・・・問題にしちゃうぐらいだから、みなさんもうお気づきですよね?(笑)

正解は、③の40%です!!!(どんどんぱふぱふ♪)

 そうなのです、多良間島の黒糖は、八つの島の中で40%以上のシェア(生産量)を誇り、堂々の県内生産量1位!もっと言うと、全国生産量1位、です!!!こんなちっちゃな島がですよ!この事実を知った時に、少し誇らしくなったことを覚えています♪内地のスーパーやネットストアに並ぶ沖縄の黒糖、その半分近くが多良間島産!!!きっと貴方の近くにも多良間の黒糖があるはず☆気になった方は是非一度確認してみてくださいね♪

多良間に住んでから「黒糖」に敏感になったのか、商品名で「黒糖の○○」などと名前が付いているものは必ず裏面をチェックしてしまいます(笑)。それが「多良間島産」だと一人で内心狂喜乱舞、「沖縄県産(どこの島かは書いていない)」だと、とたんにしょんぼりする、分かりやすい私なのです。多良間産なら多良間産って書いて欲しい!(笑)

本島の八重瀬町のコーヒーショップ。「黒糖コーヒー」の黒糖は多良間産だった!(嬉)

【利き黒糖!?八つの島の黒糖の味の違いは?】

 黒糖が沖縄の八つの離島で生産されていることは分かったけど、それぞれに味の違いってあるのかな?と思われた方も多いと思います。味の違い、もちろん、ばっちりあります!同じ黒糖なのに?と思われるかもしれませんが、原料のサトウキビの栽培方法や、島の天候や土壌などの要件が、味わいにしっかりと反映されています。色・形・食感・香りなど、一つとして同じものはないのです。確かに、同じ沖縄でも本島に近い粟国島と、那覇から300km以上離れた多良間島では、気候も土壌も違いますよね~(粟国が土砂降りでも多良間が快晴ということはよくあるお話)。黒糖自体の製法は、八つの島ではほとんど変わらないので(製法を共有しているため)、植物の神秘を思わず感じずにはいられません!

 

 ん?あっきーはどこの島の黒糖が好みかって??・・・聞いちゃいますか?(笑)

ひいき目とかそういったことでは全くなく、我が「多良間島」の黒糖が一番美味しいです♪

上手く言い表せないのですが、苦みが少なく甘さも程よく。塩加減も濃くもなく薄くもなく。食感はしっかりとしていて、お茶うけにすると手が止まりません。バラ(成形)の黒糖もありますが、粉黒糖も生産されており、こちらはコーヒーに砂糖代わりに投入するなど重宝しています。

多良間ではおそらく「1人に1袋」の割合以上に、島民の皆様が召し上がっていると思います!

八重瀬町の道の駅に出品させて頂いた粉黒糖たち。喜界島の粗糖と並んではいチーズ(笑)

 私は八つの島に何人か友人がいるのですが、皆様「おらが島の黒糖がいちばん!」と、黒糖の話になるとライバル心(?)を掻き立ててきます。粟国島の友人には、お土産にとバッグに詰め込まれ(もちろんお返しで多良間の黒糖を差し上げた(笑)、与那国島の売店のおばぁは、私が多良間住民だとはつゆとも知らずに与那国の黒糖のおいしさを熱弁し、波照間島でレンタサイクルを借りて住所を書いた際、ショップのお兄さんに「え、お姉さん多良間!黒糖の!」とびっくり(?)され…。どちらの島の皆様も、「黒糖愛」にあふれていていいなぁと思うのでした♪

 あっきー調べでは、少し苦みがあるのが与那国黒糖、ほろほろと口の中でよく溶けるのが波照間黒糖、多良間黒糖より少し軟らかくて甘味が強いのが粟国黒糖、という感じです(あくまでも私の感想です)。色々食べ比べてみたい!という方のために、「八島黒糖」という製品名で、八つの島の黒糖を少しずつ食べられる商品もネットで販売しています!興味のある方は是非手に取ってみて、「お気に入り」を見つけてみてくださいね♪

【黒糖にまつわるあれやこれや♪美味しい裏話】

 ここまであれこれ、沖縄の黒糖について書いてきましたが、黒糖生産量全国1位の多良間島だからこそ経験が出来た、面白いあれやこれやのエピソードをご紹介したいと思います!

★エピソード① 粟国島の製糖工場長さんに・・・

  これはまだ私が地域おこし協力隊だった時代。沖縄県内の協力隊の現地研修で、粟国島に二泊三日で視察に訪れた時のことです。粟国島は「粟国の塩」というブランドがあるほど、「塩」でも有名な島なのですが、ここ最近は製糖にも力を入れ始めたとのこと。現地視察では、県内の他の地域から集まった協力隊仲間と一緒に、粟国島の製糖工場を見学に訪れました。

 実は、それ以前に多良間の製糖工場へ見学&お手伝いに行ったことがあった私。工場長さん自らが製法や機械の使い方などについてご説明してくださったのですが、多良間の製糖工場でやっている手順とすごくよく似ているな?と思って聞いていました。

 見学の最後に工場長さんが、「協力隊の皆様、(県内の)どちらの地域からいらっしゃったんですか?」と質問。皆さんが各々回答した最後の方に私が、「多良間です~」と答えた瞬間でした。

「…多良間工場さん!!!いつもお世話になっています!!!」

・・・・・・???????????????(そして私は多良間「工場」ではない(笑))

 よくお話を伺ったところ、県内では多良間の製糖技術が一番進んでおり、機械も最新のものを導入しているため、参考にすることが多いとのこと。工場長さん自ら多良間工場に足を運んで技術を勉強されたこともあるとか!!まさに八島の素敵な助け合いですね♪

・・・いやぁでも、初対面の工場長さんにいきなり、「お世話になっています!」ってお辞儀されたら、普通の人はびっくりしますよね・・・

粟国の製糖工場にあった、サトウキビ選別機(おそらく)とバガス(サトウキビ搾りかす)の山。バガスは再利用して、製糖工場の機械を動かす燃料として燃やされます。

★エピソード② 5月10日は、何の日でしょう??

 5月10日は、読んで字のごとく、「こくとう」の日なんです!これは沖縄だけなのかな??私が持っている「沖縄手帳」にはしっかりと「黒糖の日」と記載があります!多良間の皆様はこの黒糖の日をとても大切にしていて、5月10日には色々な黒糖に関わるイベントを行い、島民の皆様の「黒糖」に関する意識を高める活動をしています。

 今年の5月10日には、沖縄のカレーメーカー「あじとや」さんが、黒糖を使ったカレーを多良間小学校・中学校の給食に提供して頂いたほか、農協前で「黒糖の無料配布」(!)が実施されました。当日は新聞の取材も入り、かなりの力の入れようでした。

机の上に山と積まれた黒糖と、配布開始を今か今かと待つ小学生の皆さん(の後ろに私)。

 この日は確か15時くらいから農協前で黒糖を配布しますということだったので、もちろん私は14時50分にはこの場所に待機(笑)。時間になったらすぐ配布が開始されるのかと思いきや、JA多良間支店の皆様より黒糖についての有難いお話があったりなど、「黒糖だけくださいな!」と言ってもらって帰れる雰囲気ではありませんでした(それはそうですよね…)。

 それでも、お話を伺う中で皆さんが黒糖にかけている意気込みや愛着などが伝わってきて、「ああ、この島に来て黒糖と出会えてよかったな」と自然と思えてきました。私にできることは、多良間島の黒糖を美味しい美味しいと食べ、友人や家族にも多良間の黒糖のおいしさを広めていき、みんなを幸せにすることなんじゃないか・・・(ちょっと壮大すぎるかな)と思いました。

 黒糖配布では、お姉さんらしく(笑)小学生の皆さんへ先を譲り、それでも実家用と自分用と友人配布用に3袋をゲットした私。本当はひとり2袋までだけど、あっきーさんなら特別にいいよ!って言われて3袋目を頂くことができました(人徳?(笑))。

来年の黒糖の日には、もらうだけではなくて、自分で何か黒糖を使ったお菓子や料理を作ってみようかな?と思っております!

多良間には、黒糖を使ったお菓子もありますよ!「うーやきがぁす」に「たらまんぼー」、どちらも島外でもひそかに人気上昇中です!

 今回このコラムを執筆するにあたって、黒糖について色々と調べたのですが、調べれば調べるほど黒糖の世界は奥が深い!

そして、間違いなく言えるのは、沖縄の黒糖はミネラル分が豊富で、とっても健康に良いということ。寝起きの良くない私は、朝の仕事前に黒糖をひとかけら口にするようにしているのですが、あら不思議、自然と頭がしゃっきりとしてくるのです♪これからは、一家に必ず黒糖一袋!を強くお勧めします!(笑)

 多良間もいよいよ寒くなってきましたが、黒糖のおかげで元気に冬を乗り切れそうです!今年5月より私のコラムにお付き合い頂きありがとうございました。そして、来年もどうぞ引き続きご愛読いただけましたら嬉しいです♪皆様どうぞ良いお年をお迎えください。