留学生の私が感じる沖縄の「距離感」
沖縄は小さく、地図上で探さなければ見逃してしまうほどだ。沖縄は狭く、那覇などの路地は鰻の寝床のようだ。多分それが理由で、沖縄では人と人との距離がより密接になっている。
「距離」は空間にも時間にも表せる便利な言葉だ。「東京と大阪の距離は498キロメートル」、「空港まで車で30分の距離」。さらに、日本では、抽象的な感覚で「距離感」という単語が使われる。
ここの人が私に与えるのは、遠くも近くもない、夏にかりゆしウェアを着るようなちょうど良い距離感だ。
沖縄の人々は、まるで素顔の上に、ほんのりとした薄化粧をしているかのようだ。じっくりと顔を見つめなければ気づかないような格好で、人に心地よさを与える。この化粧は、シワやシミを隠すためではなく、観光客への敬意を表すためのものだ。自分の最良の姿を見せたいのだ。いつも素に近い沖縄の人々こそ、こことびきりの魅力だ。
もしかしたら、沖縄に来る人は日常の喧騒や人間関係から逃れたいと思っているのかもしれない。しかし、最終的には逆に沖縄のごたごたから溢れる人間味にだんだんと惹かれる。
私の拙い言葉ではこの感じを表現できない。この記事を読んでいる人には、ぜひ、自分の肌で沖縄の空気、沖縄の人、沖縄の全てを感じてほしい。
「車から降りて、散歩気分で古い看板のある店を気ままに探す。畳の上であぐらをかいて、紙メニューで注文し、木製の赤黄箸で食べる」
沖縄に住んで三年目の私にとって、沖縄の一番の魅力は観光地でも海でもない。小さくて狭いけれど、ここにいる唯一無二の純粋な沖縄の人々だ。
名桜大学大谷ゼミ3年 張 辰峰