国宝千代金丸について「特別寄稿⑤ 尚本家23代当主 尚衞」
皆さん、こんにちは。今回は琉球王国時代に尚家に伝来した三振の宝刀の一つ、『千代金丸』についてお話しさせて頂きます。
私の記憶にある尚家の宝物を少しずつ皆様にお話しする機会とさせて頂ければと思い、この度特別寄稿をいたすこととなりました。
千代金丸の伝来につき『千代金丸宝刀ノ由来』によりますと、第一尚氏王統の第二代尚巴志王により攻め滅ぼされた北山王攀安知の所持した太刀とあり、指定名称「金装宝剣拵 刀身無銘」と言われるものです。
刀としましては、刃長71.3cm、刀身は平造りで庵棟、やや細身で先反り強くあります。
拵えの全長は92.1cm、古代の頭椎大刀のような形の金製兜金が付いた柄で、「大世」の銘が刻まれています。
鍔は赤銅地で木瓜型の板鍔、四方に四花型と猪の目形の透かしを入れ、鍍金毛彫り菊文を散らし、鞘は黄金色に輝く華麗なものです。
柄は日本の長剣にしては珍しく片手用(かろうじて拳2つ分の幅がある程度)で、琉球独自の拵えであると言えます。
千代金丸は、私が学生の頃過ごしていた東京の自宅の倉庫にあった箪笥に何本かの刀剣が入っており、その中の一本でした。
私は事ある毎に倉庫に行き、箪笥から千代金丸を取り出して、よく眺めていました。
金色に輝いていて、とても綺麗な刀だという印象がありました。そして刀身を見た時には、その輝きに吸い込まれる様な感覚があったのを鮮明に覚えております。先代の尚本家22代当主尚裕氏より平成8年に同家伝承文化財が沖縄県那覇市に寄贈され、平成14に三振りとも「琉球王家尚家伝来品」の一つとして重要文化財に指定、平成18年に歴史文書類を加えて「琉球国王尚家関係資料」として国宝に指定されたおりは、国宝として認められとても嬉しく思いました。尚王家には代々伝来してきた宝刀があります。今は那覇市歴史博物館蔵となり、定期的に皆様の目に触れる機会もあります。また展示される際には皆様にぜひ歴史の一部として、観覧頂けたらと思います。千代金丸のレプリカ品が今帰仁村歴史文化センターにて展示もされております。那覇市歴史博物館の展示に時期が合われない方は此方を御覧頂けたらと思います。
※写真は那覇市歴史博物館蔵の時の展示写真
【筆者】
尚 衞(しょう まもる)
尚本家第23代当主。
1950年生まれ。
玉川大学卒業後、アメリカアラバマ州、サンフォード大学(Samford University in Birmingham Alabama U.S.A)にてMBA取得。
一般社団法人 琉球歴史文化継承振興会代表理事として務める。
◆一般社団法人 琉球歴史文化継承振興会
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