投稿日:2020.04.01

首里城正殿 御轎椅復元について【 特別寄稿⑥ 尚本家23代当主 尚衞】

皆さん、こんにちは。本年度は1年間娘と共にOKINAWA41にて尚本家レポートのコラム記事を書かせて頂きました。手探りでございましたが、読者の皆さまやOKINAWA41のスタッフの皆様の御陰をもちまして、無事に1年間のコラム記事を終えさせて頂く事が叶いました。本当に有り難く思っております。

本年度最後のコラム記事は首里城正殿二階に安置されていた玉座についてのお話しをさせて頂きます。
首里城正殿二階には琉球王国黄金時代を築いた第三代尚真王の玉座『御轎椅』ウーチューイがありました。
これは、尚真王の肖像画に描かれており、明代様式の椅子を基礎にした意匠で、本体を台湾の専門家に、装飾を漆芸家前田孝允さんに委嘱し、約二年の歳月をかけて1994年に完成したものであります。

御轎椅前にて、尚衞、尚満喜
写真:御轎椅前にて、尚衞、尚満喜

尚家一門の水魚会が復元依頼したこの御轎椅は、高さ133cm、奥行き125cm、全体に朱塗をほどこし、その上に雲、牡丹の花などの模様と沖縄近海で採れた夜光貝、約2000個を使っての朱螺鈿で装飾してあります。
ひじ掛けの突起部分は、国王を象徴する金箔の龍頭がこしらえてあります。

1994年完成時の除幕式、贈呈式 尚弘子副知事、漆芸家前田孝允さん
写真:1994年完成時の除幕式、贈呈式 尚弘子副知事、漆芸家前田孝允さん

漆芸家の前田さんは、今年の1月14日に亡くなられました。83歳でいらっしゃいました。
この御轎椅を完成なされた当時、「首里城に恥じなく後世に伝えられる立派なものにしたいと、納得いく作品に仕上げるために1年余り遅れてしまった。」と語っておられました。

首里城の為にご尽力いただいたご功績に対し、本家の当主として深く感謝申し上げ、ご冥福を心から祈念いたしております。

昨年の首里城火災により、この大切な御轎椅も焼失しました。
再び尚一門が復元依頼し、管理財団に寄付をしようと、現在協議が行われております。
中心メンバーは尚本家当主の私と、家族である一般社団法人琉球歴史文化継承振興会より、副代表理事の尚満喜と理事の尚孝之、尚宣威王一門の後裔の理事、沖縄の尚家分家当主であり桃原農園社長尚厚氏、関東の尚家分家当主の尚邦夫氏、そして水魚会の方々の力を合わせて再び復元をと思っております。

沖縄分家の当主尚厚氏は、我々の年齢の中でも最長老格で、本家当主として尚厚氏にお任せしながら復元を進めていけたらと思っております。
皆さまにも詳細が解りましたら、お知らせさせて頂きますので、ご支援賜れましたら幸いにございます。

【筆者】
尚 衞(しょう まもる)
尚本家第23代当主。
1950年生まれ。
玉川大学卒業後、アメリカアラバマ州、サンフォード大学(Samford University in Birmingham Alabama U.S.A)にてMBA取得。
一般社団法人 琉球歴史文化継承振興会代表理事として務める。

◆一般社団法人 琉球歴史文化継承振興会
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