投稿日:2018.01.30

うるま市で繋がった“縁”

うるま市石川曙、海が見える小高い丘の上でうるま市の工芸品を集めたギャラリー「はらいそ」。
店内は白を基調とした壁紙や棚に、淡い彩の「やちむん」「琉球ガラス」「紅型染め」などの個性的で繊細な作品が展示され、地元の方や観光客などが訪れます。

ギャラリー「はらいそ」
こちらのギャラリーを営んでいるのは、2011年に東京都から移住された河野哲昌さん。
元々は東京都でグラフィックデザイナーをしており、ギャラリーの他にもうるま市の魅力を発信するフリーペーパー「みちくさうるま」の発行やフォトライターとしての活動をされています。

ギャラリー「はらいそ」

今回はうるま市への移住の決断から島の生活、また人と繋がることで新たに生まれる縁についてお話をお聞きしました。

―移住されたきっかけはございますか?

もともと沖縄に限らず漠然と移住に対する気持ちがありました。
子どもが小児喘息ということもあり、空気が綺麗な場所を探していたところ、あまり都会すぎず自然も残り、中部都市として沖縄の各都市への移動も容易なうるま市へ移住をしたんですよ。
ただ、当初は知り合いもまったくいなくて、病院なども手探りの状態で、その内に知り合いが増えていった形です。

 

ギャラリー「はらいそ」

―移住する際に仕事は決まっていたのでしょうか。

東京にいる時はグラフィックデザイナーとして企業に所属していたのですが、こちらに来る時にはまったくあてもなく、ただ移住してきた感じですね。
そこで、就職するか独立するかを悩んでいた際に、こちらで知り合った年配の女性に観光物産協会へ行くことを勧められました。
実際に行ってみると、大手のデザイナーは中部に来る回数も少なく協会側が困っており、そこにこの暇人がポンと出てきたわけですよ。そこからポスターやビニールバック、イベントのチラシなどのデザインの仕事が始まった感じですね。
そこから地域の企業やお店との繋がりができはじめ、その方々からいただいくデザイン案件や、フリーペーパーの発行などに広がりましたね。

ギャラリー「はらいそ」

―そこからギャラリーを開くまでの経緯はどのようになっているのでしょうか。

フリーペーパー「みちくさうるま」シリーズを発行していたんですが、2014年7月に発行した「みちくさうるま 工藝紀行」という巻がきっかけですね。
まずは市内に工藝作家さんが結構いることに気付きまして、ならばそちらを特集しようということになったんです。
それで、実際に下調べをしていたら、皆さん市外とか県外にほとんどを卸していて、市内で作家さんの作品を購入できる場所が存在していなかったんですね。
当時、仕事は自宅でやってたんですけど、プライベートとの境界がないんで他に部屋を借りようと思ってて、その時にギャラリーとかやってみたいよねと(奥さんと)話していて、
そこで、その当時は軽い気持ちで作家さんに「例えば、自分に卸していただくことって可能ですか?」みたいなことを相談してみたらOKだったんですよ。
で、詳細な条件を相談して実際に開いた感じですね。
2014年の10月10日、当日は台風でした…。

―商品自体はご自身で選ばれるんですか。

そうですね。
いま15組の作品を扱っているんですが、人気の作品は勿論、その他でもほとんど自分で選んでいますね。

 

ギャラリー「はらいそ」

―今はデザインのほかフリーペーパーやギャラリーの運営など多忙になられましたが、沖縄に移住してここまでに辛かったことはありますか。

台風による影響ですね。
台風の規模が東京とまったく違って、停電48時間とかありました。トラックも横転したりしますし。
そうなると、作業途中のデータが飛ぶ可能性もあるんで仕事を中断せざるをえないということになるんです。
観光協会も海中道路の途中の海の駅にあり、風速20mとかになるので、スケジュールを再調整しなければいけなくなります。

また、皆さんが思う沖縄の天気って快晴じゃないですか。
天候が変わりやすいので、写真撮影の時には苦労しますね。
沖縄の方言で「片降い」という言葉があるんですよ。例えば、うるま市は快晴なんですが、隣の読谷村はゲリラ豪雨みたいなことはよくあります。

 

ギャラリー「はらいそ」

―沖縄に来てよかったと思う点はどこでしょうか。

やっぱり海ですね。
東京にいた時に海水浴となると、千葉か神奈川という話になってくるじゃないですか。
いまは自宅から5分くらい下ったところに海があるんで、いつでも入れるんです。

それと、いまは色々な仕事ができることですかね。
ポスターなどは昔からですが、商品のパッケージや、以前相談されたのがマンションの外側の絵を考えてほしいというのがありまして。色んなジャンルの依頼が来るので、本当にそれが楽しいですね。
あとは、そこからの派生ですが、作った商品が県内外で評価されたり、売れ行きが好調な場合は嬉しいですね。ほんの少しですが、その一因を担えたんではないかと思いまして。

 

―移住を考えている方に一言お願いします。

地域の繋がりを大事にする社会なので、何度か仕事をしていると、その方から他の方へ話してくれるので、またそこから広がっていくことがありますね。まずはその地域の方との交流を深めることが大事だと思います。

今回、インタビューはギャラリー「はらいそ」にて実施。
河野さんは気さくに質問に答えてくださり、とても和やかな雰囲気で行いました。
うるま市の方々はじめ、観光で近くに訪れた方々、是非ギャラリーに寄ってみてはいかがでしょうか。

Gallery はらいそ
常 設:11:00~16:00(最終入館)
企画展:11:00~17:00
定休日:水・日曜日
住所:沖縄県うるま市石川曙1-9-24#137
電話:098-989-3262
FAX : 098-989-3294
mail : info@monobox.jp
通販サイト:http://galleryharaiso.com/

 

記者:岸本(うるま市)