【名桜大学レポート】3密回避を意識した沖縄観光 -離島にも目を向けながら
「ウィズ/アフターコロナ」を踏まえた沖縄観光に関するミニ意見・アイディア
【名桜大学:大谷】2020年度 大谷研究室のOKINAWA41記事作成基本方針
●はじめに
今回、「3密回避を意識した沖縄観光」というテーマを選定した理由は主に二つある。一つ目は自身の出身地が沖縄県の離島であり、離島に住んできたからこそわかる医療体制や地域の現状などから、地域住民が持つ不安を第一に考えることが今後の観光のあるべき姿ではないかと考えたことにある。二つ目は、自身が観光に関わる職に就きたいと考えており、今後の沖縄観光を今一度考えないといけないと思ったことにある。
Social Distance(以下:SDと表記)「社会的距離の確保」が新しい生活様式として定着する世の中で、SDを生かしながらも沖縄らしい観光を楽しめる工夫について多くの案が出てくるだろう。ここでの言う沖縄らしい観光とは、海などの自然が綺麗であり、人やまち、空間が温かく、沖縄に来たということが感じられるような沖縄観光のことを指し、私は水際対策とSDを意識した観光行動という、これからのWithコロナの観光について提案する。
1.背景
沖縄県は従来から安心・安全な観光地づくりを推進しており、現在の沖縄県の取り組みは、県主催イベント等実施ガイドラインの改訂、「沖縄県新型コロナウイルス感染症等対策に関する条例」の策定に向けた検討、旅行者の安全・安心アクションプラン「沖縄Tour Style With コロナ」の策定などがあげられる。沖縄県のイベントに関するガイドラインによると、感染状況を見つつ、8月1日を目途として屋内イベントは収容定員の半分程度以内の参加人数にすること、また屋外イベントは人と人との距離を十分に確保できること(できるだけ2m)とある。旅行者専用相談センター(TACO)の設置、旅前、旅中、旅後ごとの感染予防・拡大防止策の整理、「沖縄Tour Style With コロナ」などの施策を通して「持続可能な沖縄観光」を目指していくといえる。
主要な離島である石垣島、宮古島、久米島の取組みを簡潔に整理する。石垣島は空港でのサーモグラフィカメラによる検温、観光から帰って三日後に電話で発熱の有無を確認する取り組みを実施している。宮古島は空港でのサーモグラフィカメラによる検温、感染予防対策、久米島は空港でのサーモグラフィカメラによる検温に加えて、港で乗船前の検温の協力、滞在中は行動履歴のメモ、体調不良を感じた際は滞在先を通して久米島町へ情報提供などの取組みを行っている。
県のガイドラインにおける県内離島への渡航については、「渡航先の受け入れ状況等は、各離島市町村のHP等での確認・判断の願い」とあり、各離島のTACOに加えて各島で水際対策を行っているという状況からは離島に関する具体的な水際対策は充分と言い切れないだろう。したがって、これからの強化に向けた具体的案を考え、また無症状な方も含めた来訪者全員へのPCRまたは抗原検査は不可能に近い水際対策を踏まえたうえで、SDを意識した観光中の行動について少しの提案をしたい。
2.内容
水際と感染拡大対策の強化、そしてこれを踏まえた上でのSDを意識した観光中の行動について、「ドライブイン○○」とアウトドア要素のさらなる活用として、以下の表の内容を提案する。
ここでいうアウトドアの魅力は、SDを踏まえて従来からの魅力をさらに活用するという意味になる。久米島を例とすると、はての浜をはじめとした「海の魅力」を目的として観光客などが多く訪れるが、天然記念物のキクザトサワヘビやクメジマボタル、その他島に生息する生き物や植物が楽しめる「山の魅力」をより発信すべきである。
以上の提案から、水際対策および感染拡大対策の充実を踏まえながら、新しいSDを意識した形の沖縄観光を作り上げることで、Withコロナでも、沖縄らしさを生かした観光ができるのではないだろうか。
3.実現可能性
これまで、Withコロナの沖縄観光について方向性を考えたが、実現可能性として次のような課題点が挙げられる。
水際対策強化については一般的になるが強制力がなく、個人のみならず地域と県の理解と協力が必要となる。「ドライブイン○○」については、広い駐車場や空き地を利用してできるとしても、地域の資源とのバランスや交通渋滞、そしてイベント等の企画と運営の主体など継続的な開催の問題点がある。
アウトドア要素のさらなる活用については、結局は新しい資源の場所に客が密集してしまい、もともとあまり活用していなかった場所の活用で地域にとってマイナスなことになるのではないかという点が挙げられる。
●おわりに
観光は地域住民の協力があってこそ成り立つものだと考えています。だからこそ沖縄県離島の出身者としても、離島が持つ課題である医療施設不足や、高齢者が比較的多いことなどを踏まえて、地域の人々の不安要素が少しでもなくなるようなWithコロナの沖縄観光をこれから目指す必要があるのではないかと考えています。
もちろん沖縄は、観光によって経済が成り立っているといえるほど観光が重要な地域であるので、観光をとめることはできませんが、現在の状況から目を背けることもできないため今回このような案を出してみました。Withコロナの沖縄観光でも、今までの沖縄の魅力が感じられるような観光が続いていくことを願っています。
【引用・参考文献】
・石垣市(2020)『石垣市新型コロナショックからの回復プラン(Ⅱ)』
https://www.city.ishigaki.okinawa.jp/material/files/group/1/20515kaifukupuran2.pdf
(閲覧日2020年6月25日)
【引用サイト】
・「新型コロナウイルス感染症に関する各種情報について」沖縄県COVID-19対策サイト
https://www.pref.okinawa.lg.jp/site/chijiko/kohokoryu/koho/2020_new_corona_potal.html
(閲覧日2020年6月25日)
・「新型コロナウイルス感染拡大防止にかかる知事コメント」沖縄県庁
https://www.pref.okinawa.lg.jp/site/chijiko/kohokoryu/koho/2020_new_korona_virs.html
(閲覧日2020年6月25日)
・「沖縄県主催イベント等実施ガイドラインの策定について」沖縄県庁
https://www.pref.okinawa.lg.jp/site/chijiko/koho/20205020.html(閲覧日2020年6月25日)
・宮古空港ターミナルビルホームページhttp://miyakoap.co.jp/(閲覧日2020年6月25日)
・「【町長メッセージ】観光客の受け入れ再開について」久米島町観光協会
https://www.kanko-kumejima.com/archives/24612(閲覧日2020年6月25日)
■筆者(2020年6月末作成)
名桜大学国際学群観光産業専攻
大谷ゼミ3年次 仲道 嶺賀